ある午後の風景
作 桜 ありま
「あ、葉月君」
学校の中庭の芝生に座り、うとうとしていた葉月は、その声に気付くと顔を上げた。
そこに立っていたのは、満面の笑みをたたえた少女。
・・・だったのだが、顔を上げた葉月の表情を見るとその顔からすぐに笑みが消える。
「あ・・・ごめんね、もしかして寝てたんじゃ」
葉月の様子に、寝ていたような印象を受けた少女は、慌てて葉月に向かって謝った。
「別に、いい」
普通の人が聞いたなら、怒ってしまっていると思っても仕方の無い物言いも、少女は慣れていて、本当に怒っていないと知っていたのだが、睡眠をこよなく愛している葉月の邪魔をした事に変わりはなくて・・・
「ごめんね、葉月君」
少女は、また謝る。
その様子を見ていた葉月は、ため息交じりにこう言った。
「おまえの夢見てたから…別に今と変わらない」
「え??」
「だから・・・気にするな」
気にするなといわれても・・・
私の夢って一体どんな夢なんだろう??
少女は真っ赤になりながら葉月の言葉を考える。
ただ、たんに自分が出てきただけなんだろうし
葉月君の事だから深い意味はないんだよねきっと。
心のなかで少し残念がりながら
少女はそう結論づける。
そして葉月は、目の前で考え込む少女をみて、まだ気にしてるのかと、少女を温かい目で見つめるのだった。
お互い
鈍いもの同士のある午後の風景。
終
あとがき
何を書くか決まらないまま、パソコンの前に座ってうってると、こんな話になっちゃいました。(自分でもびっくりです!)
ショートショートですね。
やはり、王子は寝ている!!
という印象が強かったらしいです。苦。昼寝ネタになってます。
試験中もよく寝ている王子のちびキャラがなんだか可愛かったですね・・・遠い目