私には、好きな人がいる。
 
 でもそれは、仲の良いナツミも、知らないと思う。



【やきもち】



「ちょっとー?聞いてんのー?」

ナツミに呼ばれて私は我にかえった。

「えっ?ゴメン!聞いてなかった」

頬に汗を一筋たらしつつ、私は素直に謝った。

「なんかあんた最近オカシイよ?…ははぁ〜ん、さては恋でもしたか〜?」

「っ!!違うよ!」

――言って私は窓から見ていた人を気付かれない様にカーテンを閉めた。

ここは放課後の教室。
私はナツミとおしゃべりをしてた――んだけど、たまたま通りかかったその人を
、ついつい見つめちゃって。

ナツミの話…あんまり聞いてなかった。

「そのあわて様、も〜、あんたは素直なんだから。で、誰?」

ナツミには悪いけど、これは教えるわけにはいかない。

だって私の好きな人、さっき私が見つめていた人は…氷室先生なんだから。

ナツミなら言っても大丈夫かもしれないけど、でも言えない――でも言わない。

先生を好きなんて言えないし、先生はナツミの天敵だし、それに…。



それに――ナツミは先生と仲が良いから――



『ガラッ』
教室の扉が勢い良く開いた。

扉を開けたのは、氷室先生。

「何をしている。下校時刻は過ぎている、速やかに下校しなさい」

「げ!ヒムロッチ!!」

「――――。」

「――――!!!!」

「…――。」

「〜〜――…!!!?」



私、どうかしてるのかもしれない。
ナツミと先生がなんだか言いあいしてるけど、それさえもが仲良く見えて羨まし
くなる。
羨ましくなるだけじゃない、やきもちだってやいてる。

ナツミが羨ましい。

「ナツミ先に帰るね。氷室先生、さようなら」

「え?ちょっと――?」

気がつくと私は教室を飛び出していた。
走ってその場から離れようとしていた。
後ろでナツミが何か言ってるけど、私は止まらなかった。

仲の良い2人をこれ以上見ていたくなかった。

でもそれ以上に、やきもちやいてる自分がイヤだった。

わかってる、わかってるよ。
先生にとっては私はただの生徒だって事。

別にナツミが先生と付き合ってるわけじゃないのはわかってる。
お互い多分特別な感情を持ってるわけでもないと思う。



――でも――



「廊下は歩きなさい」

正面から聞こえた意外な声に、私は顔を上げてそっちを見た。

「ひッ、氷室先生!?」

なんで?さっき教室にいたのに!?

え?そもそも私走ってきたんだよ?
私はこんなに息が乱れてるのに、先生は汗ひとつかいてないし。

「なぜそんなに急ぐ」

「…え?」

急な先生の発言に、私は意図がつかめなくて声をもらした。

「いや…それより、今廊下を走っていたな」



先生と話してるのは嬉しいけど、今は…。
さっきのやきもちがまだ残ってて…。

私の中で、むやむやしたものがグルグルしてる。



先生は淡々とした口調で続けた。

「罰として、次週日曜、課外授業を行う。強制参加だ」



――え?――

「今なんて…」

「聞こえなかったのか?」

先生が少し怪訝そうな顔をしたので、私はあわてて返事をした。

「いえ、聞こえました!はいっ、参加します!!」

私がそう言うと、先生はため息をついて言った。

「だから君は強制参加だといっただろう」

先生がため息をつくから、私はもしかして怒ったのかと思った。

――でも、次の瞬間――

「まぁよろしい、下校時刻は過ぎている、今日はもう速やかに下校しなさい」

先生は少し、多分、笑ってた。

「はいっ、先生、さようなら!」

私は一礼して、帰路についた。

さっきまであんなにぐちゃぐちゃだった心は、今じゃすっごくスッキリしてる。

氷室先生の一言で、こんなに変われる。



――もしかして、氷室マジック??




END




×××××××××××××××

あとがき

スイマセン。謝る所が多すぎて、なんだかもうスイマセン。
桜さんの小説がほのぼのなので、ちょっと違うの目指したんですけど…。変なモ
ノが仕上がってしまいました。
しかも主人公!本当の氷室マジックはそこじゃないだろー!
こんなものですが、受け取っていただけると幸いです。

―晃―




晃さんから戴いた、『ときめきメモリアルGirl's Side』小説です!
またまた晃さんが私の我侭なリクエストに答えて書いて下さったのですvv
今回のリクエスト内容は、学園モノv
そうしたら、私も大好きな氷室先生×主人公ちゃんモノを書いて下さいました!
ヒムロッチ・・・やっぱりいいですよねぇvv
いくら走っても疲れない!さすがアンドロイド説があるだけの事はあります!(違っ)
主人公ちゃんの心の葛藤も感情移入出来て、なんだか愛おしいです…(*´∇`*)
晃さん、素敵ときメモ小説ありがとうございますvv


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